漢字書が私の本籍、
前衛書は現住所である。
創設者 主宰 表立雲(Ritsuun Omote)
玄土社を創立し、自由な創作に心血を注いだ創設者 表立雲のプロフィールをご紹介します。
私に先生はいない。拓本、法帖が私の先生
若くして書道界にいた立雲は、組織のなか、制約のなかでの作品づくりに不自由を感じ、毎日書道展をはじめ中央書壇のすべての役職から退きました。
当時の書道界は日展を頂点とし、伝統書と現代書の両派のヒエラルキーを確立しつつありました。その中で、派閥に左右されずにより卓越した存在、まさしく前衛書を極めるための決断であります。
そして新しい活動、すべてに自由な創作と、厳密で科学的な研究者としての日々が始まります。
古典は研究の対象、厳密に発掘するもの
古典所研究をしていた立雲は手に入れた資料を透明なフィルムに転写し、従来の資料と重ねる<碑帖透映鑑別法>を考案します。
拓本は同時期のものであれば、何度採拓しても 圧の加え方による些細な差異はあれど大きくは変化なく、重ならないことはありません。しかし風化による欠けや、補修を加えられた拓本では重なりが違ってきます。
書の世界では試みられたことない<碑帖透映鑑別法>による論考は、墨美・墨・修美・書道界・書道芸術・書彩・書苑案内・書21・碑法帖の解説・中国の書法報・文献などの各誌紙に紹介掲載され、1986年の≪九成宮醴泉銘≫から、1999年の≪王義之・寒切帖≫まで60数件に及びました。
徹底した臨摹の演習から、長く不明であった古碑の<整本復元>」にも成功し、法帖研究の分野では、その発想による実証法によって数々の革新的な考察が生まれました。従来の定説が見直されて、中国書道界からも熱い視線が送られています。
私に弟子はいない、集まる人は皆同志仲間である
立雲は自由な個性を好み、師として教えることで弟子の個性を師の色に染めてしまうことを嫌いました。
「個性、才能のない人はいない。指導とは、教えることではなく、特性を引き出すこと」
そのため、玄土社には立雲を中心に様々な人が集まりますが、その作品性に共通するものはなく、多岐にわたります。
経歴
1926年 | 5月2日富山県小矢部市(旧正得村)に生まれる |
1945年 | 富山県砺波市に疎開中の大澤雅休と邂逅 「立雲」の号を名付けられる |
1946年 | 棟方志功と交遊 |
1948年 | 玄土社を創立 |
1951年 | 書道芸術院展審査員(~1967年) |
1952年 | 西川寧(文化勲章受章者)と会い知遇を得る |
1953年 | ニューヨーク近代美術館主催<日本の建築と書>に出品 |
1956年 | 29歳で毎日書道展最年少審査員(~1979年) 金沢市に移る |
1960年 | 墨運堂の応援で北陸書道大講習会を単独開催 講師 鈴木翠軒、青山杉雨、宇野雪村、金子鷗亭、金田心象、炭山南木、手島右卿、宮本竹逕、津金鶴仙(病欠) |
1976年 | 日本海造型会議の創立に参加 |
1977年 | 白川静(文化勲章受章者)を玄土社に紹聘し、甲骨文の講演会を開催 初不知斎、茲始堂の斎堂号を考案していただく |
1979年 | 「<日本の装飾芸術における伝統と現代性>展」(共同主催 ソ連邦文化省・財団法人国際美術協会)(会場モスクワ・東方美術館)に出品 |
1982年 | 「日本現代美術-新しいschriftkunstの世界-」(主催 ドイツオルデンブルグ市立美術館)に出品 |
1985年 | 「中国書道辞典」著者 中西慶爾を訪ねる 王壮弘と上海で会見 |
1988年 | 藤原楚水を訪ねる この頃から 翁藤西白精舎(翁方綱、藤原楚水、西川寧、白川静)を称する |
1990年 | 「日中国際シンポジウム」に実行委員・パネラーとして参加(中国側 陸石、王玉馳、王景芬、劉炳森)(会場北京市) 「表 立雲展」(主催会場 銀座あかしや書廊) 「表 立雲展‐ある日偶然‐」(主催会場 金沢国際ホテル) |
1992年 | 「書と絵画との熱き時代1945~1969」(主催会場 品川O美術館) 「前衛書は今」(主催会場 大崎ウエストギャラリー) 「上海書法家協会成立三十周年記念・日中国際書法シンポジウム」にて発表(中国側 翁闠運) |
1993年 | 「前衛書家 表 立雲の世界」(主催会場 石川県立美術館) |
1994年 | '94中国文物古跡遊 第四回長安国際書法年会招待(団長) |
1999年 | 「大澤雅休・竹胎兄弟とその門流展」(主催 成田山書道美術館・平原社)(会場 成田山書道美術館)に「黒嶽黒谿」を出品 「天大地大の書業展-玄土社と棟方志功」(主催会場 棟方志功記念館・愛染苑)に「その先はわからない」を出品 「表 立雲展‐前衛書の軌跡‐」(共同主催 砺波市美術館・北日本新聞社)(会場 砺波市美術館)に71点(うち臨模17点)を出品 |
2001年 | 北陸大学オープン大学で書の講師を務める(~2002年) |
2003年 | 「生誕100年記念展 棟方志功-わだはゴッホになる-」 座談会「棟方志功の人と作品を語る」(主催会場 福光美術館・高岡市美術館他) |
2004年 | 砺波市美術協会創立50周年記念展「郷土ゆかりの作家展」(主催 砺波市美術協会・砺波市美術館)(会場 砺波市美術館)に「玉剋春」を出品 「棟方志功 書の軌跡展」、併催「表立雲前衛書展」「書の徑の会展と玄土社展」(主催会場 福光美術館)に「西行」を出品 「北魏光州青州摩崖刻石を見て学ぶ旅」(主催 玄土社)(旅程 中国山東省) |
2005年 | 「前衛書・表立雲と20人の仲間たち・パリ展」(主催会場 パリ日動画廊)に「パリ憧憬」他13点出品 「日本古代の碑を書く展」(会場 吉井町多胡碑記念館)で講師を務める 那覇市文化協会書道部30周年記念展で講師を務める |
2007年 | 「小矢部市美術展特別企画 強度ゆかりの作家展-表立雲前衛書展」(主催 小矢部市・小矢部市教育委員会)(会場 クロスランド小矢部)に「窓の向こう」他35点出品 「時の向こう 前衛書・表立雲展」(主催会場 ギャラリートネリコ金沢市)で「トネリコ'07No.1」他39点出品 |
2010年 | 「第27回愛染忌-棟方志功と表立雲作品展」(主催 福光美術館愛染苑友の会)(会場 福光公民館)に「紆余曲折」他19点出品 「佐久市新市発足五周年記念特別展 比田井天来門流展」(主催 佐久市・佐久市教育委員会)(会場 佐久市天来記念館)に「蘭・亭」を出品 |
2011年 | 「COOL JAPAN 日本前衛書法芸術展」(主催 イセ文化財団・精華大学美術学院)(会場 北京精華大学美術学院)に出品 「イヴの茶会」(主催 COOLKANAZAWA実行委員会)(会場 中村記念美術館耕雲庵)に「それでも偶然か」他1点出品 |
2012年 | 「玄土社古典臨模30周年記念東京展」(主催 玄土社)(会場 東京都吉田笣竹記念館) 「COOL JAPAN 日本前衛書展」(主催 イセ文化財団・フランス ラ・メールプラール)(会場 モンサン・ミッシェル:ルルレサンミッシェル)に出品 |
2013年 | 石巻書道協会講演会講師を務める 「COOL JAPAN 日本前衛書 南砺展」(主催会場 福光美術館)に「100ミリシーベルトA」他2点出品、講演会講師を務める |
2014年 | 「ムナカタとオモテ展」(主催会場 石川県立美術館)に出品 |
2015年 | 「新・加賀茶会」(主催 COOLKANAZAWA実行委員会)(会場 五島美術館)に出品 「第9回 イヴの茶会」(主催 COOLKANAZAWA実行委員会)(会場 中村記念美術館耕雲庵)に出品 |
2016年 | 「茶室deクラシック」(主催 ラ・フォル・ジュルネ金沢音楽祭実行委員会)(会場 旧園邸)に「ま、ほ、ら」を出品 |
2017年 | 「高式熊を囲む会」(主催会場 中国浙江省安吉県・高式熊芸術館)に主賓として出席 「新・加賀茶会」(主催 COOLKANAZAWA実行委員会)(会場 金沢21世紀美術館 松涛庵)に「KAGA Ⅲ」を出品 |
2018年 | 「アートと対話する茶会 新・加賀茶会」(主催 COOLKANAZAWA実行委員会)(会場 金沢21世紀美術館 松涛庵)に「KAGA Ⅰ」を出品 |
2019年 | 「比田井天来没後80年記念展 天来の会書展」(主催 天来の会世話人)(会場 東京銀座画廊美術館)に「非天」を出品 「新・工芸茶会」(主催 COOLKANAZAWA実行委員会)(会場 金沢21世紀美術館 松涛庵)に「和而不同」を出品 |
2021年 | 5月26日永眠 「砺波市美術館館蔵品展 特集「追悼 表立雲」」(主催会場 砺波市美術館)に収蔵作品展示 「表立雲 追悼茶会」(主催 COOLKANAZAWA実行委員会)(会場 金沢21世紀美術シアター21)に「その時再び」他6点出品 |
2023年 | 2月「表立雲 軌跡展」(主催 玄土社) (会場 石川県立美術館) |